給与所得者等再生

小規模個人再生と比べて、給与所得者等再生を利用した場合のメリットは何ですか

給与所得者等再生は、小規模個人再生の要件を満たす人の中で更に、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者でその額の変動の幅が小さいとみこまれる場合に利用することができます。

小規模個人再生では、再生計画案を裁判所に出した後で債権者の決議をとって、頭数と金額で同意しないという回答が過半数を超えなければ可決されることになっていて、可決されやすくなっているとは述べましたが、それでも1社だけで全体の債権額の過半数を超えている場合ですとその債権者が不同意の回答をしてしまうと再生計画案が否決されてしまいます。ところが給与所得者等再生では、たとえ全債権者が再生計画案に反対しても、法律の要件さえ満たしていれば再生計画案を裁判所から認可してもらうことができます。このように債権者の意向にかかわらず再生計画を成立させることができるというのが給与所得者等再生の最大のメリットとなります。

小規模個人再生と比べて、給与所得者等再生を利用した場合のデメリットは何ですか

給与所得者等再生は債権者の反対があっても押し通すことができるという点にメリットがあるのですが、その代わりに再生計画の要件が厳しくなっています。

つまり、再生計画による支払総額を決めるために、債務額によって異なる最低弁済額基準と清算価値保障原則があることは前に述べましたが、給与所得者等再生ではこの要件に加えてさらに「可処分所得基準」もクリアしなければいけないことになります。

この「可処分所得」というのは収入から税金、社会保険料、生活費を引いた、いわゆる「自由に使えるお金」というものです。給与所得者等再生の再生計画では、この可処分所得の2年分以上を支払うことが必要となっています。 可処分所得を計算するための生活費は実際の生活費でなく、政令で決められた生活費となります。
これによると、原則どおり3年弁済をする場合には自由に使えるお金の3分の2,5年弁済をする場合でも自由につかえるお金の40%を再生計画による支払に充てなければならないことになりますので、支払がかなり苦しくなります。

給与所得者等再生手続をとった場合の支払総額の基準となる「可処分所得」はどのように計算されますか

まず最初に収入から所得税、住民税、社会保険料を控除します。
収入は源泉徴収票の支払金額、所得税は源泉徴収票の源泉徴収税額、住民税は市区町村で発行する納税証明書の合計年税額、社会保険料は源泉徴収票の社会保険料等の金額から認定します。

この時に再生計画案を提出する前2年間に5分の1以上の収入の変動がない場合は、過去2年間の収入から、所得税、住民税、社会保険料を控除した金額を2で割って1年分の収入額を算出します。
5分の1以上の変動があった場合や、過去2年間の途中から給与所得者になった場合は、変動があった時点や給与所得者になった時点からの収入から所得税、住民税、社会保険料を控除してこれをさらに1年分に換算しって1年分の収入額を算出します。

上記の方法によって算出した1年分の収入から政令によって定められた最低生活費を控除します。
この政令によって定められた最低生活費ですが、これには個人別生活費、世帯別生活費、冬季特別生活費、住居費、勤労必要経費の項目があります。
これは政令で細かく規定されているのですが、まず債務者の居住地によって第1区から第6区に分類され、それぞれ年齢、世帯人数などによって細かく決められています。詳しくは下記をクリックして政令をご覧ください。

  • 政令で定められた最低生活費
  • 小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらを利用した方がいいですか

    給与所得者等再生は債権者の同意がなくても押し通せるというメリットがあっても「可処分所得要件」が厳しいのと、小規模個人再生で、再生計画案を決議に付しても債権者が再生計画案に同意しないという意見を述べてくることが多くないという現状があることから、小規模個人再生を利用することが多くなっています。
    ただし、可処分所得が低い場合や清算価値が高い場合などで、小規模個人再生をとった場合と支払額が殆ど変わらないのであれば、同意がなくても押し通せるという給与所得者等再生をとった方がいいと思います。また小規模個人再生だと再生計画案が否決される可能性が高いと思われる場合は給与所得者等再生をとらざるを得なくなります。

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