個人再生の再生計画の内容

再生計画案が裁判所に認可されると、債務の支払責任をどれくらい減らすことができますか

個人再生の再生計画案の支払総額については以下の要件を満たす必要があります。この支払総額を超える部分の債務の支払責任はなくなります

1 債務額(住宅資金貸付債権額などを除く)が3000万円を超えて5000万円以下の場合は、その債務額の10分の1以上を支払う内容であること
2 債務額が3000万円以下の場合は、その債務額の5分の1又は100万円のいずれか多い額(ただし上限は300万円)を支払う内容であること
3 破産手続をとった場合に予想される配当総額以上を支払う内容であること(清算価値保障原則といいます)
4 (給与所得者等再生の場合は)可処分所得の2年分を支払う内容であること

このうち、1と2の最低弁済額要件をわかりやすくまとめると以下のとおりとなります。

債務額 再生計画による支払総額
100万円以下 債務額の全額
100万円を超えて500万円以下 100万円
500万円を超えて1500万円以下 債務の20%
1500万円を超えて3000万円以下 300万円
3000万円を超えて5000万円以下 債務の10%

個人再生では何年の分割弁済が認められますか

原則として、再生計画認可決定が確定してから3年内に弁済する必要があります。ただし特別の事情がある場合には5年内での弁済が認められます。

清算価値保障原則はどのようなものですか

個人再生が認められると、債務を大幅にカットした上で原則として3年での分割弁済をすることになります。
これは債権者にとって負担が大きくなります。
このように債権者の負担が大きいことが考えると、破産手続をとった場合に得られる配当金額よりも多くの支払をするという内容でないと、債権者としては再生計画を受け入れることができなくなってしまいます。
このため、個人再生手続による支払額は、破産したと仮定した場合に配当する金額(これを清算価値といいます)より多くなければならないという清算価値保障原則が定められた訳です。

清算価値はどのように計算されますか

基本的には、自己破産での換価処分基準(破産管財人による処分対象の財産にあたるか否かを決める基準)によって算出されることになります。

この結果、

 現金のうち99万円は清算価値に含まれません。99万円を超えた部分が清算価値に含まれることになります
 預貯金の総額が20万円を超えればこの預貯金総額が清算価値に加算されます
 保険の解約返戻金の合計額が20万円以上であればこの解約返戻金額の全額が清算価値に加算されることになります。

これを具体的に説明すると、例えば、債権額300万円、保険解約返戻金見込額が120万円でこれ以外に清算価値に加算される財産がない人の場合、債権額によって決められる最低弁済額基準によると支払額は100万円となりますが、清算価値に含まれる保険解約返戻金見込額が120万円となるので、再生計画による支払総額も120万円以上でなければならないことになります。

なお、清算価値保障原則によって、清算価値を算出する基準となるのは、再生計画認可決定時となります。ですので、手続中に資産が増えると、再生計画による支払総額も増える可能性がありますので注意が必要です。

債務の支払責任を大幅にカットする内容で債権者の決議は可決されるのでしょうか

個人再生手続では、決議に付された再生計画案に対して、再生計画案に同意しない旨を回答した議決権者(債権者)が議決権者総数の半数に満たず、かつその議決権の額が議決権総額の2分の1を超えない場合は、再生計画案の可決があったものとみなすと定められています。
つまり、債権者が積極的に再生計画案に賛成する必要はなく、同意しないという債権者が債権者の頭数でも債権額でも過半数を超えなければいいということになっており、可決されやすくなっています。
このため、個人再生では再生計画案が決議で否決される割合が数%程度となっており、否決される可能性は低くなっています。
ただ債権者によっては、再生計画案の内容にかかわらず同意しないという意見を述べる傾向にあるところもありますので、この点は個人再生に精通した弁護士ともよく相談した上で対応を考えた方がいいです。

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